「申立て→期日指定・呼び出し→期日(約1か月間隔で、1回~数回)→成立/不成立/取下げなどによる終了」という流れになります。不成立の場合は審判に移行します。
1.養育費の調停とは
養育費を請求するためには、金額や支払時期、支払方法などに関する具体的な取り決めが必要です。取り決めの方法には①話し合い、②調停、③審判、④離婚訴訟の附帯処分があります。
①②は当事者の合意による取り決め、③④は裁判所の判断による取り決めです。
②の調停とは、当事者の合意による紛争解決を目指す裁判所の手続きです。一般的な民事に関する紛争は簡易裁判所の民事調停で扱われ、養育費や離婚などの家庭に関する紛争は家庭裁判所の家事調停で扱われます。
2.調停の仕組み
調停では裁判官1名と調停委員2名以上から構成される調停委員会が当事者の間に入り、事実関係を整理しながら合意を目指していきます。調停委員会は事実調査をすることもありますが、解決に向けて強制的な判断をする権限はなく、あくまでも当事者の納得による合意のために、説明や意向確認、提案などを行います。
その結果当事者が合意に達すれば、調停成立となり、合意した条項を記載した調停調書が作成されます。もし相手が約束を守らないときにはこの調停調書に基づいて強制執行をすることができます。
反対に当事者が合意できなかった場合には、調停不成立となります。養育費の場合は不成立になれば自動的に審判手続に移行し、裁判所の判断による解決が図られることになります。
以下、調停の手続きの流れを説明します。
3.養育費の調停の流れ
(1)申立て
まず、養育費を請求したい、増額したいなど調停を希望する側から家庭裁判所に調停申立書を提出します。申し立てた人は「申立人」、申し立てられた人は「相手方」といいます。提出先の家庭裁判所は、相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意した場所の家庭裁判所となります。調停申立書には支払ってほしい養育費の月額など希望する調停の内容を記載し、その理由となる事情も簡単に記載します。この申立書は、原則として相手方に写しが送付されます。
(2)期日指定・呼び出し
申立てが受理されると、家庭裁判所内部で事件を担当する調停委員会が決まり、期日が指定されます。そして両当事者に対し、期日呼出状が送付されます。
(3)期日
指定された日時に、家庭裁判所の庁舎内の調停室において、期日が開かれます。当事者は基本的に出頭しなければなりませんが、やむを得ない事情がある場合には代理人のみの出席も認められます。期日においては、通常、当事者は、片方ずつ交互に調停室に入り、調停委員と話をします。
(4)続行
調停が1回の期日で終わらず、次回期日が指定されて継続することを続行といいます。続行する場合、期日間の間隔は1,2か月程度です。解決までどの程度時間がかかるか、何回の期日が開かれるかは事案により異なります。
(5)調停の終了
調停は以下の場合に終了します。
成立 (家事268) |
当事者が合意に達した場合 |
調停調書が作成され、調停手続が終了する。 |
不成立 (家事272) |
当事者間に合意が成立する見込みがない場合、または成立した合意が相当でない場合 |
調停手続は終了し、審判手続に移行する(別表第二事件の場合)。 |
取下げ (家事273) |
申立人が取下げ書を提出した場合(原則として、調停終了までいつでも取り下げることができる) |
調停手続が終了する。 |
調停に代わる審判 (家事284) |
軽微な一部のみについて合意できない場合など、裁判所が相当と認める場合 |
調停に代わる審判に対して異議の申立てがなければ確定し、調停は終了する。異議の申立てがされると調停に代わる審判は効力を失い、審判手続に移行する。 |
調停をしない措置 (家事271) |
事件が性質上調停を行うのに適当でない場合、または不当目的による調停申立ての場合 |
調停手続が終了する。 |