調停調書や公正証書等の債務名義がある場合、相手の給料の差し押さえをすることができます。ただし、相手の勤務先や現住所を特定する必要があります。注意点は、①差し押さえ後、別途回収手続が必要であること、②相手が退職した場合、回収できなくなる可能性があること、③差し押さえできる金額が原則として給料手取り額の2分の1であること、の3点です。
目次
1.給料差し押さえとは
給料の差し押さえとは、相手が有する勤務先の会社等に対する給与債権(給料を支払ってもらうことのできる権利)を差し押さえるものです。
2.相手の給料を差し押さえるための条件
相手の給料を差し押さえるためには、以下の条件が必要です。
①債務名義を有していること
債務名義とは、簡単にいうと、相手に請求できる権利の内容を記載した公的書面のことをいいます。給料の差し押さえを行うためには、債務名義を有していることが必要です。
債務名義には、調停調書、審判書、確定判決、強制執行認諾文言付公正証書等があります。
②相手の勤務先を把握していること
差し押さえをするためには、差し押さえをする対象を特定する必要があります。相手の給料を差し押さえる場合、相手の勤務先の会社名、住所を特定しなければなりません。
③相手の現住所を把握していること
債務名義に記載された相手の住所と、相手の現在の住所が異なる場合、差し押さえの申立ての前に、相手の現住所を調査する必要があります。弁護士に依頼した場合、弁護士が相手の住民票を取得する等の方法で調査します。
3.給料の差し押さえのメリット・注意点
3-1.給料の差し押さえのメリット
給料の差し押さえをした場合、未払い分だけでなく、将来の養育費の分まで継続的に差し押さえをすることができます。
例えば、養育費の取り決めをしてから3年後に支払いが止まり、現在の未払い金が200万円の場合、給料の差し押さえをすれば、200万円に加えて、今後発生する養育費も、一度の差し押さえで継続的に回収することができます。
3-2.給料の差し押さえの注意点
給料の差し押さえをした場合の注意点は、3点あります。
①差し押さえ後の回収手続を行う必要がある
給料を差し押さえたとしても、その後、回収手続(相手の勤務先とのやり取り等)を行う必要があります。裁判所は具体的な回収手続を行ってくれるわけではありません。
②相手が会社等を辞めた場合、回収できなくなる可能性がある
前述のとおり、給料の差し押さえを行った場合、将来の養育費の分まで差し押さえが継続します。
ただし、相手が勤務先を辞めた場合(転職した場合)、差し押さえの対象となる給料が無くなるため、回収することができなくなる可能性があります。新しい勤務先が分かるときは、新たに差し押さえの申立てを行う必要があります。
③差し押さえできる金額が原則として給料手取り額の2分の1である
養育費や婚姻費用の場合、原則として相手の給料の手取り額(税金や社会保険料等を控除した額)の2分の1まで差し押さえることができます。
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