A.強制執行をするためには、相手の財産に関する以下の情報等が必要となります。
①不動産・・・不動産の所在や地番、家屋番号等
②給料・・・給料支払者(勤務先の会社等)の住所・会社名
③銀行預金・・・銀行名、支店名
④保険(解約返戻金)・・・保険会社名、保険契約の内容
⑤自動車・・・自動車の登録情報、所在地
また、債務名義(調停調書や公正証書等)に記載された相手の住所が現住所と異なる場合、相手の現住所も調査する必要があります。
解説
1.強制執行とは
強制執行とは、養育費や婚姻費用などの支払いを調停調書や公正証書等で取り決めたにもかかわらず、相手が養育費等を支払わない場合に、相手の財産を差し押さえるなどして強制的に換価、回収する手続のことをいいます。
強制執行には、相手の財産に応じて、主に以下のような種類があります。
不動産
相手の所有する土地や建物(不動産)の競売手続を申し立て、換価代金から回収します。
給料
相手の給料を差し押さえて、勤務先(第三債務者)から給料等の一定額を回収します。
預貯金
相手の銀行預金を差し押さえて、銀行(第三債務者)から回収します。
保険
相手の保険解約返戻金を差し押さえて、保険会社(第三債務者)から回収します。
自動車
相手の所有する自動車を差し押さえて、換価代金から回収します。
2.強制執行をするために必要な情報
強制執行の対象となる相手の財産は、債権者において特定する必要があります。主な財産に対する強制執行で必要な情報は、次のとおりです。
①不動産・・・不動産の所在や地番、家屋番号等を特定する必要があります。法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することができれば、特定に必要な情報は全て記載されています。
②給料・・・給料支払者(勤務先の会社等)の住所・会社名を特定する必要があります。
なお、相手方が個人事業主の場合で、取引先に対する売掛金債権を差し押さえるときは、取引先会社の住所・会社名を特定する必要があります。
③銀行預金・・・銀行名、支店名を特定する必要があります。口座番号までは分からなくても大丈夫です。銀行名がわかる場合、弁護士に依頼し、弁護士会照会制度で支店名等を調査することも可能です。
④保険(解約返戻金)・・・保険会社名、保険契約の内容を特定する必要があります。保険会社名がわかる場合、弁護士に依頼し、弁護士会照会制度で保険契約の内容等を調査することも可能です。
⑤自動車・・・自動車の登録情報や所在地を特定する必要があります。ナンバーがわかる場合、弁護士に依頼し、弁護士会照会制度で自動車の登録情報等を調査することも可能です。
3.相手の現在の住所、財産が分からない場合
相手の現在の住所がわからない場合は、弁護士に依頼することで、相手の現住所を調査することが可能です(住民票を移している場合)。
また、相手の財産が分からない場合は、一定の条件のもと、裁判所の財産開示手続、第三者からの情報取得手続を利用することが可能です。
また、弁護士に養育費等の回収を依頼することで、弁護士会照会制度(弁護士法23条)を利用することができます。
- 養育費の強制執行(差し押さえ)についてさらに詳しく知りたい方は、養育費の強制執行のよくあるご質問をご覧ください。
- 養育費の強制執行(差し押さえ)の申立てを弁護士に依頼されたい方は、名古屋の弁護士法人中部法律事務所の養育費の強制執行・差押えのサービスをご覧ください。
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