養育費の平均額は、令和3年の調査によれば月5万0485円です。しかし、養育費の金額は、双方の収入などによって定めるものであり、養育費算定表を基準にすべきです。平均額を目安にすべきではありません。
1.養育費の平均額
養育費は、協議で決める場合には自由な金額で決めることができ、届出等も不要なので、実態は必ずしも明らかでありませんが、公的な統計資料からある程度把握できます。
そのような資料として、厚生労働省による「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」があります。同資料によると、令和3年(2021年)の全国の母子世帯について、養育費の平均月額を子供の数別に調べた結果は以下のようになります。
全体の平均 | 子供1人 | 子供2人 | 子供3人 | 子供4人 |
---|---|---|---|---|
5万0485円 |
4万0468円 |
5万7954円 |
8万7300円 |
7万0503円 |
ただし、この集計対象は養育費を受け取っているか受けたことがある世帯に限られています。同じ資料では、母子世帯の中で養育費を継続的に受けている世帯は28.1%しかなく、受けたことがない世帯が56.9%もいることが示されています。
2.養育費の基準となる養育費算定表
前述の厚生労働省の調査は、実際の支払額をベースとしたものであり、収入区分もありません。そのため、支払うべき養育費の金額の基準となるものではありません。
養育費の金額は、双方の収入などによって定めるものであり、養育費算定表を基準にすべきです。
養育費は、協議で決められなければ家庭裁判所の調停や審判を利用して決めることになります。家庭裁判所で養育費を決める場合、その金額は義務者(養育費を払う人)の収入、権利者(養育費を受け取る人)の収入、子どもの年齢や人数の要素で決まります。子どもの数が同じでも、親の収入が異なれば、認められる養育費の金額も大きく異なってきます。
双方の収入、子どもの年齢や人数に応じて、養育費の金額の基準を定めたものが養育費算定表です。
養育費算定表を基準にし、必要に応じて個別の事情を考慮して修正した金額で合意すべきです。