A.連絡先(電話番号など)はわからなくても問題ありません。しかし、養育費の調停や強制執行を申し立てるためには、相手の住所を知っている必要があります。
相手は元配偶者ですので、弁護士に依頼することにより、あなたの戸籍から遡り、相手の現在戸籍及び附票を取得することで、相手の住民票上の住所を調査することができます。
したがいまして、養育費の請求は可能です。
目次
解説
1.相手の住民票上の住所を調べる方法
(1)戸籍の附票
戸籍の附票とは、本籍地の市町村で戸籍の原本と一緒に管理されている住民票上の住所の履歴です。戸籍に記載されている人は、戸籍の附票も取ることができます。
夫婦は婚姻の際に新しい戸籍を編製し、離婚すると一方が戸籍から抜けます。抜けることを除籍と言いますが、戸籍からは消えてなくなるわけではなく、記載は残ったまま「除籍」と表示されるだけです。そのため、離婚して戸籍から抜けた元妻が元夫の戸籍の附票を取ることもできるのです。
ただし、離婚後に元夫が新しい戸籍を編製していると、元妻は戸籍に記載された人ではなくなってしまうので、本人として戸籍の附票を取ることはできません。この場合でも、元夫の戸籍に子供が記載されていれば、その子供の親として取得できます。また、「正当な理由」があれば第三者としても取得できる可能性があります。養育費の請求は「正当な理由」になりえますが、資料等で証明を求められます。
(2)住民票の除票
住民票も、同様に「正当な理由」を証明できれば第三者でも取得できます。その住所地から転居していなくなっている場合、住民票の除票を発行してもらえます。戸籍の附票からわかる最後の住所地の住民票の除票を取ると、転出先の住所が記載されています。その転出先の住民票を取って、そこにもいなければさらにその転出先、と追っていくことができます。
(3)弁護士の職務上請求
弁護士は、依頼者の方の正当な利益のために第三者として戸籍や住民票を取ることが認められており、これを職務上請求と呼んでいます。一般の方が正当な理由を証明しなければならないのと比べれば、簡便な手続で入手できます。
2.現住所が判明しない場合
相手の住民票上の住所が判明しても、現住所でないこともあります。その場合、相手の使用している携帯電話の会社に対し弁護士会照会をすることにより、現住所が判明することもあります。
それでも現住所が判明しない場合、後に述べるとおり、現住所不明のまま養育費の審判を申し立てることも可能です。
3.現住所がわからない場合の裁判手続
(1)調停の申立て
相手の現住所がわからないと、調停手続を進めることはできません。
(2)審判の申立て
養育費の審判は子供の住所地が管轄になります。相手の現住所が不明でも申立ては可能です。ただし、手続が始まったことを相手に知らせることができません(通常は申立書の写しが送付されます)。この場合、裁判所の掲示板に一定期間掲示して相手に届いたものとみなす「公示送達」という制度があります。
(3)強制執行の申立て
すでに調停調書や公正証書といった養育費の債務名義がある場合、強制執行申立て自体は可能ですが、相手の現住所が不明の場合にはそもそも財産や勤務先の特定ができないことが多いと思います。もし財産や勤務先が判明していれば、強制執行により回収できる可能性があります。
- 養育費の請求についてさらに詳しく知りたい方は、養育費の請求のよくあるご質問をご覧ください。
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