A.養育費を調停調書や執行認諾文言付公正証書等により取り決めていれば、第三者からの情報取得手続を利用することができます。
なお、第三者からの情報取得手続は、あくまでも相手の財産情報を取得する手続であり、養育費等を回収する手続ではありません。
そのため、養育費を回収するためには、この手続によって相手の財産に関する情報を得た後、別途、その財産に対して、強制執行を申し立てる必要があります。
目次
解説
1.第三者からの情報取得手続とは
第三者からの情報取得手続とは、裁判所を通して、銀行などの第三者から、相手の財産に関する情報を取得する手続です。
2.第三者からの情報取得手続によって得られる情報
第三者からの情報取得手続によって得られる情報は、次の3種類です。
①預貯金、株式、国債等の金融資産に関する情報
②給料の支払い者(勤務先)に関する情報
③相手の所有する土地、建物に関する情報(※2020年4月1日時点では未施行)
3.第三者からの情報取得手続申立先、手数料、手続の流れ
第三者からの情報取得手続の申立先は、①債務者(相手方)の現在の住所地を管轄する地方裁判所、①がないときは、銀行などの第三者の所在地を管轄する地方裁判所となります。
手数料は、1件の申立てにつき1,000円で、別途裁判所が指示する予納金(勤務先情報は1件6,000円等)が必要となります。
第三者からの情報取得手続の大まかな流れは以下のとおりです。
①債権者が裁判所に情報取得手続の申立てを行う
②裁判所が申立内容を認めれば、銀行等の第三者に情報提供命令を発令する
③銀行等の第三者が、裁判所に回答する
④裁判所が債務者(相手方)に、財産情報の提供がなされたことを通知する
4.申立てができる人
第三者からの情報取得手続の申立てができるのは、執行力のある債務名義(確定判決や調停調書、強制執行認諾文言付公正証書等)等を有する債権者です。なお、給料の支払い者(勤務先)に関する情報については、養育費等の債権者に限られます。
また、給料の支払い者(勤務先)に関する情報及び相手の所有する土地、建物に関する情報の申立てにおいては、申立ての日より前の3年以内に、財産開示期日における手続が実施されたことの証明が必要です。つまり、第三者からの情報取得手続の前に、財産開示手続の申立てを行ったことが必要となります。
5.情報を得た後に養育費を回収する方法
第三者からの情報取得手続は、あくまでも相手の財産の情報を取得する手続であり、養育費等を回収する手続ではありません。
そのため、相手の財産に関する情報を得た後、別途、その財産に対して、強制執行を申立てる必要があります。
強制執行は、例えば、不動産であれば強制競売の申立て、給料であれば給料債権の差し押さえの申立てを行います。その上で、差し押さえた財産を換価・回収するなどの方法で養育費を回収することになります。
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