養育費にも消滅時効はあります。養育費は、原則として発生してから5年で消滅時効となります(援用により消滅)。例えば、2020年4月分の養育費(4月30日払い)の場合、2025年4月30日の経過によって消滅時効が完成し、これを支払義務者が援用することによって消滅します。
もっとも、未払いの養育費について、判決や裁判上の和解、調停などによって確定した場合、権利の確定した日から10年で消滅時効となります。
1.時効の制度
時効とは、一定期間の経過により、権利を取得したり(取得時効)、権利が消滅したり(消滅時効)する制度です。このうち、養育費で問題となるのは、消滅時効です。
2.養育費と消滅時効
養育費は、子どもが成人するまでの養育に必要な費用(医療費や食費、被服費、教育費など)全般のことをいいます。
養育費は、原則として毎月発生するため、月ごとに請求権が発生します。
そして、養育費は、原則として発生してから5年で消滅時効となります(援用により消滅)。
民法上、消滅時効は、①債権者が権利を行使することができることを知った(起算点)時から五年間行使しないとき、②権利を行使することができる時(起算点)から十年間行使しないとき、のいずれか早い時点で完成します。養育費の場合、通常、権利を行使することができることを知らないことはありませんので、①の時点で完成することになります。
もっとも、未払いの養育費について、判決や裁判上の和解、調停などによって確定した場合、権利の確定した日から10年で消滅時効となります(民法169条1項。公正証書での合意はこれに該当しないため、原則通り支払期日から5年で消滅時効となります)。
なお、民法の改正により、養育費のような定期給付金債権の時効は、債権一般の定めに統一されましたが、改正前と改正後で消滅時効の期間に変更はありません。
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参考条文
「民法」
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
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